運動系が広範に障害され、特に錐体路について上位運動ニューロンと下位運動ニューロンの両方による徴候を呈する。感覚系や自律神経系の障害は通常認めない(陰性徴候)。きわめて速く進行し、症例の半数ほどが発症後5年以内に呼吸筋の麻痺を起こし、自力で呼吸ができなくなって死亡する。
下位ニューロンの障害による徴候は、頭頸部(脳神経による)・四肢(脊髄神経による)の筋萎縮・筋力低下・線維束性収縮が目立つ。四肢筋萎縮は上肢の遠位筋に顕著である。脳神経の障害で構音障害・嚥下障害・舌萎縮(球麻痺)が現れる。腱反射は低下する。典型例では下位ニューロンの障害が上位ニューロンの障害よりも先に、しかも強く現れる。
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上位ニューロンの障害による徴候は、四肢の筋萎縮(上肢よりも下肢に顕著)、球麻痺、強制号泣・強制失笑、腱反射・下顎反射亢進などである。上位ニューロンの障害が強い症例では、反射が亢進することも、下位ニューロンの障害によって消失していることもある。
陰性徴候として、感覚障害、眼球運動障害、膀胱・直腸障害、褥瘡がある。すなわちALSでは通常これらの徴候が現れない。ただし少数の症例で感覚障害や、錐体外路徴候がみられる。痴呆も普通は現れないが、少数にみられる。
その他、硬く光沢のある皮膚や、発汗に異常を呈することがある。
鑑別診断として
変形性頚椎症
HTLV-I関連脊髄症(HTLV-1 associated myeloathy、HAM)
脳・脊髄の腫瘍
脊髄動静脈奇形
ALS以外の運動ニューロン疾患
などを除外せねばならない。ALSと診断された後に他の治療可能な疾患と判明した例が少なくない。このような例では治るはずだった疾患を見過ごすことになるから、他の疾患を除外することは非常に重要である。
身体所見 [編集]
線維束性収縮がある。特に上腕と前胸部の筋肉に認めることが多い。
ただし、線維束性収縮が単独の症状として現れることはなく、必ず他の所見を伴う。
反射の現れかたによって上位ニューロンの障害か下位ニューロンの障害かを見分けられる。初期は反射が亢進し、筋萎縮が進むと低下するという例が多い。特にバビンスキー反射の出現は上位ニューロンの障害を強く示唆する。
徒手筋力検査で筋力の低下を見る。筋萎縮がみられない、もしくは廃用性萎縮がある場合は上位ニューロンの障害が示唆される。早くから高度な筋萎縮がある場合は下位ニューロンの障害が示唆される。
陰性徴候がない。感覚障害・眼球運動障害・膀胱直腸障害・褥瘡の4つはALSの4大陰性徴候と呼ばれ、病初期の診断基準として重要である。ただし、人工呼吸器による延命でさらに病態が進むと、眼球運動障害などが現れることもある。